海外案件の報酬と確定申告
海外の案件で報酬を受け取ると、日本の税金をどう扱えばいいのかが分からなくなります。ドル建てであること、支払い元が海外であること、金額が小さいことが重なって、判断がつきにくくなるためです。
先にお断りします。当サイトは税務の専門家ではありません。 このページは一般的な仕組みの説明にとどめ、金額の判定や経費の可否といった個別の判断には踏み込みません。最終的な確認先は国税庁の情報と、税務署または税理士です。
そのうえで、海外案件に特有の論点が2つあります。「いくらから申告が要るのか」と、「ドルをいくらで円に直すのか」です。とくに後者については、当サイトが表示している円換算をそのまま使ってはいけません。理由は下で説明します。
そもそも申告が必要か
よく言われる「20万円ルール」には、見落とされやすい点があります。
会社員として給与を受けている方の場合、給与所得・退職所得以外の所得の合計が 20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要とされています。ここまではよく知られています。
「20万円以下なら何もしなくてよい」と理解されていることが多いのですが、これは所得税に限った話です。住民税については別に申告が必要とされています。ここを見落とすと、後から市区町村に指摘されることになります。
判定するのは「収入」ではなく「所得」
| 意味 | 20万円の判定に使うもの | |
|---|---|---|
| 収入 | 受け取った金額そのもの | 使わない |
| 所得 | 収入 − 必要経費 | こちらで判定する |
たとえば報酬が25万円でも、手数料や通信費などの必要経費が6万円あれば所得は19万円になります。収入の金額だけで判断しないでください。
その場合は、20万円以下の副業所得も申告に含める必要があるとされています。「20万円以下だから書かなくてよい」とはなりません。なおこのときは住民税の申告は不要になるとされています。
ドルの報酬を、いくらで円に直すか
ここが海外案件に特有の論点です。
当サイトは案件の規模がつかめるように、1ドル150円の固定レートで円換算を表示しています。これは読みやすさのための目安であって、実際の為替相場ではありません。申告に使う金額は、下記の方法でご自身で計算してください。自サイトの数字が誤って使われないように、はっきり書いておきます。
外貨建ての取引は、原則として取引を計上する日の TTM(電信売買相場の仲値)で円に換算するとされています。TTM は、その日の電信売相場(TTS)と電信買相場(TTB)の中間の値です。
| 略称 | 呼び方 | 性格 |
|---|---|---|
| TTS | 電信売相場 | 銀行が外貨を売るときの相場 |
| TTB | 電信買相場 | 銀行が外貨を買うときの相場 |
| TTM | 電信売買相場の仲値 | TTS と TTB の中間。原則はこれを使う |
継続して適用することを条件に、収益については TTB、費用については TTS によることもできるとされています。また合理的と認められる場合は、一定期間の平均相場を使うこともできるとされています。どの方法を採るにしても、年の途中で都合よく切り替えないことが前提です。
- いつ収入として計上する日なのかを決めたか(報酬が確定した日か、着金した日か)
- その日の TTM を記録したか
- 同じ方法を年間を通じて使っているか
- 当サイトの表示(1ドル150円)を使っていないか
経費になり得るもの
「なります」ではなく「なり得ます」です。個別の判断は税務署か税理士にご確認ください。
- プラットフォームの手数料 — Upwork の場合は契約ごとに0〜15%が差し引かれます
- 送金・出金の手数料 — 日本の銀行への出金は1回 $0.99 とされています
- 通信費・機材費のうち、業務に使った割合 — 私用と兼ねている場合は按分が必要とされています
プラットフォームによっては、手数料を引いた後の金額が残高に反映されます。この場合でも、収入は手数料を引く前の金額で、手数料は経費として扱うのが一般的な整理です。明細を残しておいてください。
時期と進め方
- 記録を残す — 案件ごとに、報酬額(ドル)・確定した日・手数料・出金額を記録します
- 円に換算する — 上記の方法で、記録した日のレートを使って計算します
- 所得を出す — 収入から必要経費を引きます。ここが20万円の判定にも使われます
- 申告する — 前年分について、原則として2月16日から3月15日までです(土日祝でずれます)
海外案件は1件あたりの金額が小さく件数が増えやすいため、年末にまとめて振り返るのは大変です。当サイトは案件ごとに報酬と掲載日を表示しているので、応募した案件の記録を残す手がかりに使えます。
よくある質問
- 副業の所得が20万円以下なら、何もしなくていいのですか?
- いいえ。所得税の確定申告は不要とされていますが、住民税の申告は必要とされています。ここが最も誤解されている点です。また判定は収入ではなく所得(収入 − 必要経費)で行います。個別の判断は、お住まいの市区町村と税務署にご確認ください。
- ドルの報酬は、いつのレートで円に直すのですか?
- 原則として、収入として計上する日の TTM(電信売買相場の仲値)とされています。継続して適用することを条件に、収益は TTB を使う方法や、一定期間の平均相場を使う方法も認められるとされています。いずれにしても年間を通じて同じ方法を使うことが前提です。
- このサイトに出ている円換算の金額を使って申告してもいいですか?
- 使わないでください。当サイトの円換算は1ドル150円の固定レートで表示しており、案件の規模をつかむための目安です。実際の為替相場ではありません。申告に使う金額はご自身で計算してください。
- プラットフォームの手数料は経費になりますか?
- 業務に直接かかった費用として、経費になり得ます。ただし実際に認められるかは個別の事情によります。手数料が引かれた後の金額しか通帳に残らない場合もあるので、プラットフォーム側の明細を保存しておいてください。
- 海外で税金を引かれている場合はどうなりますか?
- 外国で課税された分について調整する仕組みがありますが、条件や計算方法が複雑です。当サイトでは踏み込みません。該当しそうな場合は税務署または税理士にご相談ください。
このページは一般的な仕組みの説明です。制度は変わります。個別の判断は、国税庁の情報を確認するか、税務署・税理士にご相談ください。円換算の考え方は国税庁「法第57条の3《外貨建取引の換算》関係」を参照しています。20万円の取扱いについては税務の解説記事を参照しており、条文そのものは確認していません。